バイオマス産業社市“真庭”の歩み

バイオマスタウン真庭の歩み

真庭の歴史

真庭は、古より豊かな森と自然との共存による暮らしをしてきた地域です。
古代から中世にかけては豊富な木材という燃料を背景にたたら製鉄で栄え、江戸時代は旭川の高瀬舟、京都と出雲を結ぶ出雲街道をはじめ瀬戸内海と日本海を結ぶ物資が往来する交通の要衝として賑わいました。明治から昭和にかけては、近代化に伴い製材業が盛んになり、戦後の復興期、高度成長期には西日本の木材需要を支え美作杉檜は全国ブランドになりました。
そして現在、高度成長期後の日本人のライフスタイルの変化もあり、林業や製材業を取り巻く環境は厳しくなっています。この状況の中、この豊かな山と森を生かし、真庭の暮らしが木や自然とともに豊かにあるためにはどうしたらよいか、また世界的な資源枯渇の危機ともあわせ、この豊かな自然をどのように次世代に残していけば良いかということを考えるグループが誕生しました。

21世紀の真庭塾

21世紀の真庭塾

そんな状況にあった1992年、真庭市の未来を真剣に考える、当時20代後半~40代の地元の若手経営者や各方面のリーダー達が自ら活動し、縄文時代より脈々と続いてきた豊かな自然を背景とする暮らしを未来へつなげていくことを目的に「21世紀の真庭塾」という、真庭の未来を共に考える組織を立ち上げました。 この真庭塾には多くの熱意ある人々が集い、開かれた組織として市の内部だけでなく他地域やあらゆる分野の専門家との連携も進めた結果、主要なテーマを町並景観保存と循環型地域社会の創造に据え、2002年NPO法人格を取得しました。その活動はバイオマスタウンの推進力となって活動を牽引してきました。

2010年の真庭人の1日

1997年10月10日に「環境まちづくりシンポジウム〜環境と産業の共感ステーション〜」が開催されました。その記録報告書は、単に当日の記録にとどまらず、勉強会やシンポジウム後の討論の成果も含まれています。その中で21世紀の真庭塾が当時イメージしていた21世紀の真庭が「2010年の真庭人の一日」として、未来志向の物語風に表現されています。

2010年の真庭人の一日(PDF)

バイオマス事業創設者インタビュー

東京農業大学 農山村支援センター
副代表 渋澤 寿一

真庭は山に囲まれた地域です。人々はその中で森に寄り添って生きてきました。煮炊きに使う薪、美しい水、暖をとったり、鉄の鋳造に必要な炭、季節を告げる山菜やキノコ、屋根を葺くカヤ、道具や衣服の原料や繊維をとる数々の植物ガマ、シナ、ウルシ・・、家畜の飼料や敷料、そして家を建てるのに必要な材木、すべて森が与えてくれた恵みでした。特に材木は美作材と呼ばれ、多くの人々に愛されてきました。ところが高度経済成長以降の50年、日本人は海外の食料や石油、木材に依存するようになり、真庭の森は見捨てられてきました。もう一度、ふるさとの自然で私たちの生活が繋がっている実感を取り戻したい、私たちの次の世代に、宝物としての「真庭の森」を引き継ぎたい、そのような想いから真庭地域のバイオマスを利用した街づくりが始まりました。
バイオマスツアーでは、皆様が見学される施設や森林だけではなく、それを支える真庭人たちや、彼らの暮らし、子供たちへの想いや愛を感じていただければ幸いです。

副代表 渋澤 寿一

NPO法人21世紀の真庭塾 塾長
中島浩一郎(銘建工業株式会社 代表取締役)

・真庭塾の発足と勉強会実施や現在までに至る活動についての思い
1年に限って勉強しようと始めた真庭塾。1993年当時、中山間地域の様子は厳しいものでした。そこで危機感を持つ人たちが、時代認識を持つために始めた勉強会でした。このままでは地域も自分たちの会社も含めて続かないという危機感。勉強会でいろいろな分野の一流の方々のお話を聞けたことは、私たちのベースになっています。「ないものねだりでなく、あるものを使う、あるものを組み合わせていく」という考え方で、外部の知恵、ネットワークを活かしてきました。
・真庭地域への思い
木質バイオマス資源を活用することで地場産業の元気が出、また地域の観光・商工業の発展に寄与したいと考えています。目の前に木材が豊富にある真庭なら、地域と一体で新しい価値ある製品を供給出来るという思いがあります。
・今後の展開
これまでの真庭塾で培った数多くのノウハウを広く地域の皆さんにも使って頂ける様に、次世代を担う若者の育成や木質バイオマスの多面的な用途開発と利用の浸透に力を入れます。

副代表 渋澤 寿一

真庭市バイオマスリファイナリー事業推進協議会
会長 大月隆行(ランデス株式会社 代表取締役社長)

21世紀の真庭塾が発足して早いもので19年経過しました。その間、多くの方々にご指導、ご協力頂いたことに改めて感謝申し上げます。お陰様で、勝山の町並みが活気付き、そして、バイオマスタウン真庭は、民間企業と国、岡山県、真庭市の各行政、又、研究機関、大学等との様々な連携により、愈々バイオマスリファイナリー事業へ向けて動き始めました。当協議会は、「バイオマス関連の新産業の創出」「バイオマス人材の育成」「産・学・官の連携」の場を企画運営することで、真庭バイオマス第2ステージを実現することを目指しています。真庭市は“バイオマス集積基地”を有しており、昨年4月には“真庭バイオマスラボ”が開設されました。既に(独)産業技術総合研究所のサテライト研究室とバイオマスプラスチックの研究企業が入居してますが、今後は地域のバイオマス事業に意欲ある企業が多数入居し、真庭発のバイオマスファインケミカルズ関連企業が続々と創出することを念願しています。この中国地方の豊かな森林資源を活かし、資源循環型の産業が集積する、世界に誇れる“サスティナブル真庭”への取組みにご期待下さい。

会長 大月隆行(ランデス株式会社 代表取締役社長)

初代 真庭市長  井手紘一郎

真庭地域では、10数年前から官民連携のもとに、豊富な地域資源を有効活用した、木質バイオマスの調査研究と事業化に取り組んできました。
平成18年4月に、「バイオマスタウン真庭」として公表され、木質バイオマス利活用の先駆者として、全国的にも注目を集めて参りました。平成18年12月からは、産業と観光を融合した新たな観光の形として、「バイオマスツアー真庭」を開始しました。
このように、環境保全は勿論のこと、新産業の創出、地域活性化を目指した取り組みの成果は徐々に現れてきております。
今後も、市民と民間事業者、行政とがさらに連携を深め、産業観光を推進して、『「観光回廊真庭」の振興』、『真庭市バイオマスタウン構想の推進』に、より一層努力してまいりたいと考えております。

初代 真庭市長  井手紘一郎

大きな柱のひとつ「バイオマスタウン構想」

ある産業で出た資材の残りを別の事業で再利用したり、その過程で出た副産物をまた別の事業で利用したりするなど、バイオマス事業は単独の事業を指すものではなく一連の循環が完結して初めて完成するものです。真庭では農業、林業、工業、商業、教育、福祉、技や文化…人間の生活のすべてが、バイオマス事業という持続可能な産業の輪の中で繋がる地域を目指して研究、実践を重ねています。
自然再生資源として有力な木質資源を中心に循環の輪を広げ、地域のみならず地球規模の課題として取り組んでいます。

バイオマス産業社市“真庭”のビジョン

バイオマスタウン真庭のビジョン

真庭では、地域資源の活用(バイオマス循環)が、林業・農業・工業・商業などすべての産業と住民の暮らしをつなげる輪を形成し、次世代が夢と誇りを持てる地域の未来を創っていくという希望があります。地域資源の活用により循環型地域経済が確立し、安心して暮らせる仕事がうまれ、地域の教育、文化が発展し、人々が支えあう持続可能な社会の形成を目指しています。
主要産業の林業・木材業では、バイオマス循環の一定の基盤が整備されました。
今後も地球温暖化防止やエネルギー問題にも貢献し、生き生きと暮らせる中山間地の未来にむかって前進します。

真庭市長 太田昇

真庭地域は、バイオマスを活用した「まちづくり」を進めており、特に豊富な森林資源を有効活用した取り組みが、今、全国的な注目を集めています。
その中でも、民間事業者が中心となって、平成27年4月稼働を目指す「バイオマス発電所」は、林業・木材産業の振興や新産業の創出、森林機能の回復をはじめ、地域のエネルギーを地域自らが再生可能エネルギーとして賄っていくという循環型社会の構築に繋がる取り組みとして大いに期待するところです。
また、産業と観光を融合し、新たな観光の形として平成18年12月にスタートした「バイオマスツアー真庭」も、今では北海道から沖縄まで年間2,000名を超える方々にお越しいただくまでになり、全国へ「真庭」を発信するブランド商品として確立しつつあります。
今後とも、市民、民間事業者、行政等がさらに連携を深め、協力し合って産業観光を推進するとともに、「観光回廊真庭」並びに「バイオマス産業杜市“真庭”」の推進に、一層努力していきたいと考えています。

真庭市長 太田昇

真庭市概要

真庭市は、平成17年3月31日に9ヵ町村が合併し誕生。人口は46,714人(2017.08.01 住民基本台帳)。岡山県北部で中国山地のほぼ中央に位置し、北は鳥取県と隣接。面積は828km2、県下で最も大きな市です。 その中でも、森林面積が約79%を占めており自然が豊かな町です。
3つの高速道路が東西南北に交差し5つのICがあり車での移動は大変便利な地域です。南北50km、東西30kmの広い面積を持つ真庭市は、北と南とでは、気候、文化、環境、そして言葉づかいまで異なります。 産業では、古くから木材業も盛んで栄えた地域です。西日本屈指の木材産地といわれ「木の町」としても有名。現在では、「バイオマス産業都市」として国内でもバイオマス事業においては先進地とされています。

町村合併 平成17年3月31日(旧真庭郡勝山町・落合町・湯原町・久世町・美甘村・中和村・八束村・川上村・上房郡北房町の9町村)
人口 46,714人(2017.08.01 住民基本台帳)
面積 828km2(森林面積653km2 約79%)
年齢別人口構成比 幼年12.6% 生産53.8% 老年33.6%(平成22年度国勢調査)
就業人口構成比 第1次14.5% 第2次27.9% 第3次56.4%(平成22年度国勢調査)
真庭市概要

真庭市は北部に中国山地を構成する蒜山三座をはじめ、1000mを越す山々が連なり、 その裾野に蒜山高原が開け、中部は山岳地帯、南部は平地という木材の生育に適した地形となっています。(2014年度調査)

バイオマスツアーコンセプト

バイオマスツアーコンセプト

森と自然と地球と暮らす真庭へバイオマスタウンを見に行こう

古くから森林の恩恵による暮らしを営んできた真庭地域。1990年頃、林業の衰退や過疎化の現状をどうにか変えたいと、バイオマス事業を軸に、中山間地が魅力ある持続可能な暮らしを実現するための取り組みがスタートしました。「バイオマス」を技術的な側面からだけでなく「自然」を中心に、地域の「歴史」を大切に、次世代の「未来」のために、「技術」とそれを活用する「場」を「人」が担い、その営みをまた「自然」に還す循環の活動ととらえる姿勢は変わりません。
この地域の夢を託した取り組みが注目されるようになり、「顔の見える産業観光」をテーマに2006年「バイオマスツアー真庭」がスタートしました。
 おかげさまで開始から10年を超えました。この間、日本や世界で環境やエネルギーについて考えさせられる出来事がいくつもありました。全国、海外からの参加者の皆様との交流は地元の活力となっています。
 ツアーをきっかけに真庭に通ってくださる方や移住を決めた方もあり、地域も活気づいています。2017年6月、皆様のニーズにお応えし、リニューアルコースを発表いたしました。これからも多くの新たな交流が生まれることを願っています。

立ち上げに関わった方々のインタビュー
プランニング・コーディネーター 石川紀子

(元)総務省・ふるさと財団地域再生マネージャー
プランニング・コーディネーター 石川紀子

このツアーの企画を依頼されたとき、一番に考えたのは、地方の町々の暮らしが、希望溢れる未来につながるイメージをどう伝えるかでした。
テーマパークではない、目標の途上にある小規模事業者や住民の普段の暮らしを見せ、価値をもたせるというのは想像以上に大変なことです。
幅広い参加者への訴求、集客や案内の技術などテーマツアーの基本ノウハウを提供しながら、安全、コストなど、運営に関わることは、関係者皆で一から検討を重ねました。
結果として、地元の事業者と見学者が同じ目線で交流する双方向の「顔の見える産業観光」とし、参加した皆様に「私たちにもできる。」という意気みを抱いてもらえるツアーを描くことにしました。お蔭さまで専門家から小学生まで、全国から予想以上のご参加をいただき、地域交流のきっかけになりつつあります。
今後は、各地の地域産業ツアーのネットワークにより、新たなマーケットの創成も可能だと思います。そうなったとき日本の地方の課題や将来のエネルギー問題にも、新たな光が見えると期待しています。

事務局長 吉野奈保子

特定非営利活動法人 共存の森ネットワーク
事務局長 吉野奈保子

次世代の子どもたちのために
「バイオマス(biomass)」は「バイオ(bio=生物、生物資源)」と「マス(mass=量)」からなる言葉で、一般には、「生物由来の再生可能な有機性資源」と定義されています。 地球には、太陽の光が降り注いでいます。「植物」は太陽の光を受け、成長します。成長した植物は「動物」の食料になり、動物の「死骸」や「糞」は微生物が分解することによって土となり、植物を育てます。このように循環と成長を繰り返し、枯渇することない有機性資源、それが「バイオマス」なのです。
人もまた、その循環の中で生きています。ところが私たちの暮らしは、石油をはじめとする化石燃料や地下資源に大きく依存するようになりました。それによって、自然環境の破壊や汚染、地球温暖化が進行しているのです。
真庭では、人が生きていくことの原点に立ち戻りながら、資源循環型の社会をつくろうと模索してきました。そこには、皆さんの地域でも応用できる具体的なヒントがたくさんあるはずです。真庭を訪れ、次世代の子どもたちのための希望を見つけていただければ幸いです。

バイオマスツアー真庭の始まり
(2006年〜)

2008年スタート時運営体制

真庭地域は1993年頃から地元事業者のグループがバイオマスへの取り組みを始めていましたが、2005年以降、地球温暖化が話題となり、バイオマスという言葉が一般に浸透し始めると、市外からの視察が急増しました。市は事業者の受入れ負担を減らす事、観光への波及、バイオマスにより地域づくりの発信をすべてかなえる受け入れを考えました。
そこで2006年度から総務省・ふるさと財団の「地域再生マネージャー事業」により、派遣された専門家とともに「バイオマスツアー真庭」創りを検討しました。そして中山間らしい「顔のみえる産業観光」をコンセプトに2006年12月「バイオマスツアー真庭」がスタートし合併後、全国へ発信できる初めての商品となりました。
官民が一体となって、魅力あるコースづくりを試行し、翌2007年度には農業や林業に特化したバイオマスコースも新設。2008年には地域再生マネージャー事業(3年間)が終了し、この3年間の事業で「バイオマスツアー真庭」の運営体制は「真庭市産業観光創出委員会」で整いました。個人参加の要望も増え、月1回の個人参加者専用日も設定しました。現在は、個人・団体ともに国内外から多くの方が視察に来られるほどのツアーへと進化しています。

運営母体となりツアーの展開スタート(2009年~)

その後の展開(2009年〜)

 2009年からは、真庭観光連盟が運営母体となり、バイオマスタウン真庭の政策および関連事業者と連携し、ツアー運営を行っています。バイオマス事業者はもちろん、食事、宿泊、まちづくりの担当者たちも含めた関係者が地域活性化のために利害を超えた協力体制を築き、受け入れ態勢の向上に努め、現在では、年間約3000人を受け入れるツアーとなりました。
 この地域の取り組みは2009年から現在までに環境・旅行関連の複数の賞を受賞しました。
 2016年には、運営10年の節目を迎えましたがその間、原発事故や災害など地域やエネルギーについて考えさせられる出来事が多くあり、それまで以上に各地の参加者の方々からもそれぞれのふるさとの持続への思いに接することが増えています。今後は、さらにツアーコンセプトである「顔の見える産業観光」により参加者の方々との交流を深め、循環型社会の可能性や地域の課題を共有する機会としての展開を目指してまいります。

各受賞実績

年表

年表

2016年バイオマスツアー検討メンバーです。

2016年バイオマスツアー検討メンバー